タカさん 82歳 男性 特発性間質性肺炎を患い、ご自宅で在宅酸素を使用されながら妻と二人で生活されているタカさん。
初めてお会いしたのは契約の時。 驚いたことは、契約中にトイレへ向かう際、酸素を外して移動されたこと。戻る頃には唇は青くなり、息切れをしていました。 衝撃的な始まりでしたが、看護師と連携しながら訪問することになりました。 |
“リハビリ”と言っても、まずはご自身の病気の理解をしてもらうところからでした。 「強めの訓練をしたい」 |
タカさんは昔から何にでも挑戦され、家屋修繕や絵画など多くの趣味をお持ちでした。 ある日、タカさんは言いました。
しかし関わり始めてから2カ月ほど経つと、徐々に体力や筋力が低下していき(これは予想通りの経過ではありましたが)歩くことがやっとの状態となり、さらには寝返りでも呼吸苦が出るようになっていきました。 訪問入浴サービスの提案をしても、タカさんは拒否されました。 |
しかしある日、長男が訪問し入浴介助を行ってみたことをきっかけに、週1回のペースで再び入浴することができるようになったのです。 タカさんは介入から7ヶ月で亡くなられましたが、その時の話をするタカさんの表情はいまでもはっきり覚えています。笑顔で快活で、とても印象的でした。 なんと、亡くなる2日前まで自力で浴槽を跨ぎ、入浴をされたそうです。 サービスを拒んだのも、ただ入浴することではなく、どんなに苦しくても「自分の力で入浴する」ことに意味があったのだと気づかされました。 |
お悔やみ訪問の時にご家族にかけていただいた言葉。 「自分の力で」とは、これまでご自身で何にでも挑戦してきたタカさんだからこその目標だったのだと感じました。 訪問はご自宅に伺ってサービスを提供するだけではなく、その方の生活背景と感性に触れることができる良さがあります。その方の感性に触れながら、その方が笑顔になる、意欲的になれるものを探しリハビリへ応用していくことが、なにより大事な事だと気づかされました。 関わらせて頂いた利用者さま・ご家族に感謝しながら、また日々の訪問に向かいたいと思います。
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