・85歳 女性 脳出血 ・自宅で入浴中に倒れ、搬送 ・寝たきり(介護度5) ・胃瘻造設、左上肢麻痺あり 療養病院へ転院後2ヵ月で自宅療養を 希望され訪問看護開始となりました。 コミュニケーションは頷きや口の動きなど。追視はできており、かすかに声は出ますが一言程度で、ほとんどがYES/NOの意思疎通。 介護者は娘さんのみ。 訪問看護、 訪問リハビリ、 訪問診療を利用。 また保清と介護者の休息のためにデイサービスの利用があり、さらに薬剤の配達や相談のためにコスモ薬局が介入。 担当して5か月の間に 2度の大きな変化がありました。 |
ひとつめは皮膚症状。
退院後少しずつ体幹・背部に膨隆疹が広がり始めました。リクライニングチェアに座った状態で介護タクシーを利用し皮膚科を受診し、「疥癬」と診断されました。
・ストロメクトール錠を1日分処方
・オイラックス軟膏処方
感染が拡大しないようサービスの大幅な変更が必要で、関わる全ての職種に連絡をとり快癒までは訪問看護一本で対応するように、診断翌日には体制ができていました。
サービス
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感染前
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感染後
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月
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デイサービス
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訪問看護のみ 全身泡洗浄 火・金/入浴
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火
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訪問看護
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水
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訪問リハビリ
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木
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訪問看護
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金
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デイサービス
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土
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日祝 |
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家族による 清拭・軟膏塗布 |
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細心の注意をしたけれど娘さんも感染してしまい、強い搔痒感の寝不足からくる自身の体調悪化とデイサービスを休止している疲労とで、とても大変な思いをされました。 症状が軽快し、もとの体制に戻るまで、結局3週間ほどデイサービスとリハビリを休まなければなりませんでした。 ふたつめの変化は、疥癬の皮膚症状がようやく落ち着いた頃、今度は一週間にわたって続いた下痢症状です。 薬の影響かどうかは不透明でしたが、担当医と薬局に相談のうえ、念のため服薬を整腸剤のみにカットししばらく点滴で対応しました。 頻回なオムツ交換や臀部皮膚がびらんになるなど本人、介護者ともに大きな負担です。 下痢症状が特にひどかった時には娘さんが入院を希望、その日のうちに入院することができました。 「いつも対応が早くてとても助かっています」とのお言葉を頂いていますが、私は娘さんの観察の細やかさと、必要に応じてちゃんと他を頼る勇気のおかげだと思っています。 |
副介護者がいないため娘さんの負担は大きく、一喜一憂しながらお母さまの介護をされています。 良い変化のときの娘さんは見るからにとても明るく、悪い変化のときは表情も声のトーンも暗くなり、介護に疲れたときは強がらず率直に相談してくれます。 娘さんは看護で伝えた内容を毎回かならずメモに取ります。こうした方が良いと伝えればきちんと行動にうつし、小さな変化にもよく気が付きます。 一生懸命でとてもお母さまを愛しているのだなと感じています。
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しかし、誰でもできることとは思いません。 当然のことですが、利用者さまが在宅で生活するにあたり、それを取り巻く環境がとても大事になってきます。 その環境を整備、保持するための「家族看護」がとても大切だと感じました。家族だから利用者さまのために100%頑張れてあたりまえ、ではないのです。 まだまだ訪問は継続中です。 看護師として利用者さまの健康管理を行うのはもちろんのこと、この娘さんのように利用者さまにためにがんばろうとするご家族が、安心して介護できるよう、どんなことでも相談できる看護師でありたいと思います。 |